半田のぞみのファームステイ体験

(本人紹介)  現在「獣医学部看護学科」二年生。動物が好きなので将来海外で動物に関わる仕事に就くことが夢。具体的には卒業後豪州に渡り同地の国立・州立動物保護区のレンジャーの仕事に就きたいと考えている。まず同地での生活体験と英語力の向上を目的として今年2月から3月にかけてメルボルンのファームステイを体験した。さる 9月には大学の研修でブリスベーンを訪問、クイーンズランド大学や野生動物保護施設で実習を体験。

(体験記)

今回はファーム(農場)に滞在した。海外で動物に関わる仕事をしたいと思っているので、自分のそんな夢を具体的にちょっとでもいいから経験できるのがファームだと思ったためだ。そのファームでは121エーカーの牧場に牛30頭が飼育されていた。ほかに鶏、馬やポニーなどが飼われていて、これらの動物の世話を手伝うなど毎日動物と触れ合う機会があった。

ファームステイというのは、いわゆるホームステイと違って受け入れてくれるファームが中々見つからず当初相当手間取ったが、幸い母の友人の知り合いの方がメルボルンでホームステイ事業をやっており、その方がメルボルン郊外の農場を紹介してくれたので予定通り2月27日に出発することができた。これまで海外旅行はNZ、カナダ、マレーシアなど数カ国に行ったことはあるが、現地に滞在した経験はないのでそれなりの準備をして出発した。特に滞在先のファームの家族にはしっかりお土産を買い集めて持参した。お土産の品々は下駄や手鏡など日本趣味のもので豪州では手に入らないものばかりなので非常に喜ばれた。

滞在したファームはメルボルンから車で40分ぐらいのところで、周りはほとんど牧場ばかり。子供たちが通っている学校や、近くのスーパー、図書館なども車で10分ほど走らなければ行くことができないし、一番近い隣の牧場に行くにも車で3〜4分はかかる。ほんとうに田舎で、自動車が走る道端に野生のハリモグラを見ることもしばしばだった。ほかにもカンガルーなど地元の野生動物が周りに見られた。見える景色は滞在先の牧場と隣の牧場ばかりでほかには何もない。夜は街灯などの明かりがないので完全な暗闇となり天気のよい日は見上げれば南十字星がはっきり見える満天の星空だった。

ファームの家族は30代の夫婦と8歳と5歳の娘二人で、ご主人はアンドリューという名前で競走馬の調教師、奥さんの名前はドナで元動物看護士だった。娘たちは長女がペイジ、次女がエマという名前だ。アンドリューは最近競走馬を1頭購入し、ときどき競馬に出場させているとのことで、一度その馬が出場する競馬に連れて行ってもらった。その競馬場は世界的に有名なメルボルンカップ競馬が開催される場所とのことで、そのときもたいへんな賑わいだった。アンドリューの馬は、そのときはビリから二番目かなんかであまり早い馬ではないようだった。それでもアンドリューは最近の金融危機で特別安く買えたと言って自慢していた。動物看護士だったドナに動物病院に連れて行ってもらったこともある。動物が好きな私にはオーストラリアの動物病院は何もかもおもしろく新鮮だった。とにかく日本の動物病院と違うと感じた。オーストラリア人の動物に対する考え方とか態度というものが日本人とはずいぶん違うようだ。これもこれからの大学での勉強の役に立つ体験だったと思う。

オーストラリア人というのは家族間の愛情表現がほんとうに頻繁だ。子供たちを学校に送って行ったときなど必ずキスをしているし、寝る前などもキスをし、夫婦が電話で話すときは切る前に必ずアイラブユーと言うのを忘れない。農場だからかもしれないが、毎日午後5時過ぎには家族全員が揃い6時には夕食を食べ始める。私の家のように夜遅くみんなバラバラで食べるということはけっしてない。つねに家族が一緒なのだ。食事の内容は日本とは基本的に違う。夕食では主食というものがない。つまり、肉とかスープ、野菜など副食ばかりでご飯とかパンがない。朝食は非常に簡単で直ぐにお腹が空いて困った。ひと月も居ると日本の料理が恋しくなったが、ついに約ひと月まったく日本食を食べずに終わった。

基本的にはファームだけの生活で、近くの町に遊びに出る、または外食などをするというチャンスがほとんどなかったので、持参したお金を使う機会がなく日本から持っていった5万円はほとんど持ち帰った。

ファームにはまる28日間滞在したが、いろいろと記憶に残ることもあるなかで一番鮮明なのは牛の解剖だ。ある日、病気で延命が無理とわかった牛を安楽死させて解剖した。それでも現地の獣医師もドナも全く淡々としており、何だかんだ軽いおしゃべりをしながらどんどん牛の腹を開いていくのを見て驚いた。牛がかわいそうとかそういう気持ちがまったく感じられなかったのはショックだったが、たぶん家畜と人間の関係が日本とは違うのだろう。

今回28日間という、普通のホームステイの期間の倍ほどのファームステイをしていろいろと得るものがあった。まず英語力を上げた。たしかに英語を耳から聞く力は身に付いた。最初の2週間ほどはほとんどチンプンカンプンで何を言われてもまったくわからなかったが、3週間目あたりから英語の意味が取れるようになってきた。しゃべることはできないが、アンドリューやドナ、そして幼いペイジやエマが話しかけてくるときの言葉が理解できるようになった。まちがいなくあの時は聞く力がついた。

毎日毎日朝からドナと一緒にいて家事の手伝いをし、午後の空いた時間はドナが話の相手をしてくれ、ときどき娘たちの学校に行き教室に入って授業を受けさせてくれるようなこともあった。それこそ朝から晩まで英語のなかで暮らしたのでしだいに耳が英語の音に慣れたのだろう。まだ話す力はないが、聞いたいろいろの表現を自分で使う練習をして早く話せるようになりたいと思う。

次に挙げなければならないのは自分と他人との関わり方の変化だ。周りの人たちはみんな親切で愉快な人々だった。

私はオーストラリア人が好きだ。会う人たちはみんなフレンドリーで日本人のようによそ者には知らんぷりをしているということがまったくない。そしていつもタフな感じを受ける。つねに明るく、前向きで負けることを知らないようなタフな人々だ。そして、ホストファミリーにはとてもお世話になった。見ず知らずの私を親切に迎え入れてくれて、貴重な体験をさせていただいた。旅行にも連れて行ってもらった。心から感謝している。

そんな人々に囲まれて生活する中で、私はこれまで知らない人たちの間に入るといつも消極的で人見知りだったが、他人にフレンドリーにもなった。また、自分の言いたいことをはっきり主張できるようになったと思う。少なくともファームに滞在した間は自分がフレンドリーで積極的になったと実感する。

そして、動物とのふれあいや牛の解剖の立ち会い、動物病院の見学etc.は現在大学で勉強を続けて行く上で得難い経験だったと思う。これもファームステイでしか得られない体験であったと思うし、今後の大学での勉強におおいに役立つと思う。

また、日本に帰って食べるものがすべて美味いという日本の良さを実感できたこともファームステイのお陰だと思う。
 今は、大学卒業後に計画しているオーストラリアでの語学留学を楽しみにしている。
                                              

以上